本記事の概要
・著作権・肖像権の侵害行為は原則ダメ
・でも、機会損失が凄まじい
・合法でファンが利用してもいいコンテンツを増やしてもらうことを訴える「第3の視点」を持とう
去年の発表記事はこちら↓
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ジャニオタの皆さん、著作権について考えたことがありますか?
この話、どこかで聞いたことはありますか?
聞いたことがない方はぜひ1度知っていただけると幸いです。
例えば「#嵐」とインスタで検索したとき、少なくともグッズの写真ではない画像とか、コンサート映像の投稿や雑誌の写真を使ったハンドメイド作品が出てくると思いますが
あれは法律違反です。
あるいはTwitterで嵐の話題になった際VS嵐の映像が出てきたり
TikTokでコンサート映像の切り抜きが上がっていたり
YouTubeで過去の嵐にしやがれの映像に外国語字幕がついている動画が上がっていたりなど
あれも全部法律違反です。
何がどう違反しているのかというと、
雑誌やテレビの映像、音源や映像作品には、それぞれに作った人たちの権利が発生します。
それを「無料で閲覧したり視聴できるように、インターネット上に上げる行為」はダメです、ということです。
あと、作られたものを作者に無許可で加工する、コンビニでプリントアウトできるようにする、Twitter上で壁紙として配ろうとするのもダメです。
ちなみに嵐本人が映っている何かだけではなく、展覧会グッズのデザインを用いてハンドメイド作品と称してネットプリントさせてはいけません。
もうひとつ、タレントには名前やお顔に権利があります。影響力もあるし、その人たち一人一人には元から権利があります。
この権利を無視して、公式以外の第三者なるものが、タレントの顔がわかる画像や動画をインターネット上に公開するのはダメです。
権利を守りましょう、というのは「ダメです」に値する行為をしないということです。
…というのが、この注意喚起のおおまかな内容です。
一部脚色があって「嵐さんが傷つきます」という言葉も添えられていることもありますが、勝手な気持ちの代弁を私はしません。中には本人による注意もありますので、その話と混同しないでください。本人による注意は「写真をアイコンに使うこと」です。
はじめに言っておきますが、この注意喚起はこの後のブログの内容を読んだとて覆ることはありません。
つまり、なんにせよダメであることに変わりはないということです。
ジャニオタが勝手に作った文言ではなく、①法律②事務所からの自動返信メール(本当は内容を書いてはいけないけど)に基づきダメです。
「無断転載はダメ」
「著作権の侵害はダメ」
「肖像権の侵害はダメ」
これだけ覚えれば、とりあえずOKです。
ただし、一般的に「ダメです」に該当することも権利を持つ人が「OKです」と言えばOKになります。
しかし、無断転載は後を絶たず、未だ多くのジャニオタが侵害行為をしています。
そこで私は一体なぜ、転載行為が続くのかを考えてみました。
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なぜオタクは侵害行為を続けるのか
嵐の画像を投稿したほうが大勢の人に自分の投稿を見てもらえるから
これが最も大きな理由だと思います。
TikTokを例にあげると、嵐のコンサート映像をそのまま切り取った動画を載せておけば5000viewsくらいはなんてことなく稼げます。(マジです)
Twitterで「#嵐ファンと繋がりたい」と検索しても、インスタで同じように検索しても、文章だけで勝負している人は一部です。しかも相当のセンスがなければ文章だけでの勝負は厳しいのだと思われます。文章で勝負している方々ならよくわかると思いますが…。
可愛い女の子のアイコンを使っている若年層ファンのコミュニティは、当たり前のように嵐の画像を投稿に使っています。
なぜ使うんですか?ということですが
・嵐の画像を使った方がフォロワーが伸びるから/いいねが増えるから
とても想像しやすい理由です。言い換えれば嵐の画像には需要があるわけです。
・文章だけで推しへの愛を表現するには限界があるから
いいたとえが見つかりませんが、日本で生まれた「ピクトグラム」ってわかりますか?オリンピック競技種目の人間のロゴマークみたいなもの。
日本語の文章ではうまく伝わらなくても、図なら世界共通。
同じように、嵐がダンスをしている、嵐が喋っている姿は誰にでもそれが嵐の人たちだってわかりますよね。
これが法律によりできないというのは、機会損失に他ならないのです。
話脱線しますが、こないだハガレン実写の話を知り合いとしていて、二次元オタクの方が「山田君だけジャニーズだからポスターに映ってないってことだけ知ってる」と言っていました。
J社の愚行は作品の話題をかっさらうほど有名なんですね~。
布教なんてしなきゃいいじゃん、と思うかもしれませんが、ここがポイントです。
オタクというのは性質上「共感」を求め、「布教」したがるものです。
参考文献:
「ヲタ活」に見る若者の消費行動と心理― 享楽志向と承認欲求が支える献身的消費 ―
オタクの行為のひとつが「布教」だったり、どれだけ推しが好きか表現することなのです。
「ダメです」行為とはいえ、オタクの布教活動が新規ファンを獲得することだって十分にありえます。ダメだけど。
人はね、バズりたいんです。自分が出したコンテンツを流行らせたいんです。自己を表現したいんです。
ただの自己満足かと思いきや、そうした行為はある実績を伴ってるから凄いんですよね。
あえて貼りませんがYouTubeに載っている(2022年5月現在)大野くんのソロ集動画で大野担になった人もいるんじゃないですか?
過去の嵐にしやがれの動画を見て「なんか涙が出た」って言っていた非ファンの友人がいました。
実績とはそういうことです。
YouTubeなどに布教用の素材があるなら、それらを正しく引用することで無断転載を避けることができます。ただ、嵐の場合はその素材自体がとても少ない。
その上、SEOを少しだけ学んでわかったことですが、1回のクリックで情報がすぐに分からないなんてのは良くない。
「このリンクから飛んでね」というよりも、その場で閲覧したり動画を再生できたりしたほうがいい。しかしTwitterの構造上TLではサムネイルが表示されないので情報量がかなり不利です。
布教は文章でやれ!という注意喚起もごもっともです。なぜなら侵害行為はダメだからです。
でも、文章と公式の引用だけで勝負してフォロワーを獲得できている人と、
嵐の画像・動画を一度でも載せたことがある・イラストが描ける(イラストはそんなに違法じゃない)人のコミュニティはどちらが広くて人口が多いですか?
この問題を「コンテンツ少なすぎ問題」と題しますが、最近TLに流れてくる海外ラジオアカウントが投稿する画像からもいえます。本当に画質の悪いgifばかり投稿してくる。
こんな変なgifしか(しかも違法アップロードされたもの)嵐の素材ってこの世にないんですか?
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侵害行為が新たな利益を生む可能性
侵害行為って、ダメなんですけど、新たな利益を生む可能性を秘めていると私は思うんです。それは金銭的なことではなく、コンテンツが世界へ広まるという意味で。
・海外ファンの無断転載により海外進出を果たしたアニメについて紹介している参考文献
あれですね、日本のテレビ番組が普通に見られない・字幕がないと何言っているかわからない人のためにファンメイドで作られた「VS嵐韓国語字幕」もいい例です。
・今流行りの「シティポップブーム」、海外でなぜ流行したのか?それはYouTubeに誰かが勝手に上げたからです。
『今なぜ海外で「シティ・ポップ」が大人気なのか? 火付け役に聞く 』(2022年5月19日閲覧)
余談ですけど、セクゾのニューアルバム『ザ・ハイライト』がこのブームを意識してるの凄い惚れちゃったけどジャニオタよりも音楽ファンにウケそうだから早くサブスクに出して!
・人気YouTuber「東海オンエア」のファンによる動画の一部分を切り抜いた二次創作を、公式が許諾した例
『東海オンエアの二次創作や「切り抜き」をUUUMがライセンス化 対象拡大も予定』(2022年5月19日閲覧)
もとから無収益で切り抜いていたので問題になっていませんでした。新たなファンを獲得する行為に貢献していると公式に認められ、切り抜き動画を条件付きで許諾するシステムを作ってくれたということです。
いま、山田涼介くんのチャンネル動画の切り抜きをしているチャンネルがありますが、収益に関してを問題とするのか、布教という観点で良しとするかは元動画を出している山田くんのチャンネル次第。
ちなみに、誰かが切り抜く前に本家で切り抜き動画集を作ったのがジャにのちゃんねるです。
もうひとつ紹介したいのがK-Popの事例です。
『K-POPの発展を支えるファンダムの存在とは』という、『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』の著者の方の記事です。(2022年5月19日閲覧)
主にBTSのファンダムについて、これは検索するとたくさん紹介記事が出てきます。
所属事務所はジャニーズと同じく「有料コンテンツの無断転載」を禁じている一方、いくつかの画像については「彼らの利益になるなら使っても咎めない」という姿勢だったりするんだそう…。(誰か教えて!)
よく使う駅で私も見かけたことがありますが、JO1のお誕生日広告を見かけたこともありました。凄いですよ、クオリティが。
私がこの界隈にいて思ったことは、二宮くんのCMでおなじみ「Photoshop」や「illustrator」などのソフトを扱える人の多さですね。プロか何かか…?センスの塊か…?(映画『パラサイト』の女の子を思い出しますね)
布教する応援活動を公式が割と認めている、彼らの素晴らしいパフォーマンスを一部のファンだけのものにしたくない!という熱はグラミー賞ノミネートにまでたどり着く。
そのあたりのこととか、音楽の作り方から書かれていますのでぜひ読んでみてください。ちなみにほんのちょっとだけ嵐のことも書かれています。
Amazon.co.jp - K-POPはなぜ世界を熱くするのか | 田中絵里菜(Erinam) |本 | 通販
日本は権利問題に厳しいので「街頭広告は代理店を通す」かつ「事務所の許可が必要」になります。以前学校で元広告業界の人の授業を受けたことがありましたが、誕生日広告について尋ねた時「知らない」と言っていましたw
ちなみにJO1の場合は画像利用のルールが公式から出ています。
ジャニーズ(しかもジャニーズはサイトをどっかにリンクするなよというので別の記事を貼らせていただきます)
※この件に関しては現在別の記事を作成中です。ちなみに争点は「そこにお金を使うくらいなら○○」の○○に対しての私の意見。
オタクの推し活動なんて自己満足の世界です。でも、
・侵害行為はダメだけど、今のオタクの需要のために素材が必要だ
・オタクが侵害行為をやめないから気づかれていないだけで、かなりの機会損失だ
仮に嵐だからサブスクのURLを貼ることができますけど、サブスク解禁していない人を推したいときに「CDを買ってくれ」って英語やスペイン語や中国語でTwitterに書いてそんなに効果あるとお思いですか?
「いや!海外の人からいいねもらったことあるし!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、毎回毎回嵐の番組の切り抜き動画をTwitterに公開している人は3000いいねです。この拡散力を超えられますか?
超えなくたっていい!伝わる人に伝われば…
そう思うかもしれませんが、じゃあ広報はもう諦めたほうがいいです。
ただでさえ
嵐の画像などほとんどない=需要のない界隈
海外進出を応援する=需要のない界隈
なのですから。
ここまでK-POPに押されているというのに今までなんにも「ジャニーズ遅れてね?」ってファンからほとんど言われてこなかったのは、誰もこんな発想をしないからです。
世界進出に向けた応援には興味ない、侵害行為をしたってお縄にならない、今のままで何に問題があるわけ?と。誰かがあげた「ウィークエンダー」の音源をTikTokで使っちゃいけないの?って。
ジャニーズは引き続きテレビ露出も高いし、まあそんなに目に見えてわかる翳りってないのかもしれませんけど。
でももういい加減にしてほしいんですよ。適当なことをやるのは。
侵害行為に関する「第3の視点」とは?
そこでブログ主は考えました。
「布教したいから嵐の画像を使う人たち」VS「侵害行為を止めたい人たち」の二極化に対して
「合法で推しの布教活動ができるように、公式コンテンツを増やして利用ガイドラインを作ってほしい」
という立場を新設するのです。
今年だか去年だかに視聴した音楽カンファレンスでも、K-Popのコンテンツの多さについて取り上げられていました。1曲に対してプロモーション画像や動画がとにかく多い&高品質。
ちなみにどうして同じことをジャニーズがやらないかというと、
・そんなにお金をかけなくてもCDとDVDはファンには売れるから
・オタクがプロモーションを勝手に作るから
・それは本当はダメな行為だけど歯止めがきかずグレーにしているから
・ファン以外に推しを広めたい!という行為に熱心なファン層が、拡大しにくいから
具体的には、JO1のように「応援のために使っていい画像&そのルールを出すこと」や「TikTokやインスタで嵐の曲を違法アップロードしなくていいように公式が音源を出すことを望んでます!」
ってアピールすることです。
もちろん、侵害行為を注意することも大切なことです。ただ、私自身が「それは私のやることじゃないな」と思っただけです。
後編では
・ファン以外に推しを広めたい!という行為に熱心なファン層が、拡大しにくい
この理由を広報の観点で詳しく探ることにいたします。