最近、チャートの指標のためにツイートしたり日常削ってストリーミングしたりするこの、デジタルの世界におけるオタク活動について、
それはチャートの汚染、チャート荒らしでは?
音楽チャートというものを破壊してしまうのではないですか?
という意見を見ました。
そうした意見に賛同されているジャニオタの方々…。
ああ、なるほどな。こういう気持ちの人が一定数いるから、「がんばる応援」は浸透しないんだなと。
それに対して私は思います。
日本のアイドルが、韓国みたいに音楽チャートに来るのは難しい。
ストリーミング指標、オリコンだけでなく世界に通じるビルボードを意識するのは、
やはりアイドルオタクという、アイドルを推し、より多くの人と金と時間に推されたアイドルが売れるという
昔から変わらない仕組みの一部に組み込まれた人々だと私は思います。
その日本のアイドルたちが、チャートハックできるのか?というと、それは難しいのでは?と私は考えています。
私なりに、難しいと思う理由をいくつか考えました。
(なんで敢えて「韓国みたいに」とまで言っているのかについては後述)
チャート自体”アイドルオタク”が意識するものだから
思うことはいくつもあります。
CDセールスは握手券や何らかの応募券付きのものが増えたせいで
「単純に音楽の人気ではCDセールスとランキングが伸びない」時代が続きました。
そんなことがあったから、ぶっちゃけオリコンランキングって何だろう?っていうこともありましたよね。
CDセールス女性1位:AKB48 男性1位:嵐 なんて時も…
でも、この国は昔からアイドル、歌謡曲人気と、それに対抗して別の場所で生きているロック、シティポップ系の歌手(本来のJPOP)がそれぞれいて、
そんなころからアイドルって大衆的な、言ったら音楽レベルは低いものとみなされていたので…
かの「ザ・ベストテン」もはがき書いたりして1位だった歌手が連続出演とかしていたらしいんですけど、それもアイドルじゃないですか。
この国の音楽とオタクの応援の構図はさして昔から変わってないのです。
超余談ですが、多分この「ザ・ベストテン」を21世紀バージョンにしたのが韓国のアイドル音楽番組の文化だと思います。Mnetとか…。
対して日本の某番組ではもはや歌手でもない、バラエティ番組の出演者が歌って踊っている有様ですね…。
それにプラスして、単純に音楽がよくて買うわけじゃないのかよ!と言いたくなる特典まで付けられたらそれは何を売ってる商品なの?と。
セールス1位がアイドルだったことと、本当にみんなが大好きな音楽と、評価の高い音楽が合致しないことなんて昔からそうじゃん!と思います。
もちろん一部のアイドル以外のジャンルの歌手も、一部のファンによって「頑張る」活動で支えられているかもしれないですから、絶対にいないとは言い切れません。
ちなみに最近は昭和歌謡もしっかり聴かれて評価されているみたいです、ということと
今久々にAKB聴いたらめちゃめちゃ良くて泣きそうになった、ということを付け加えておきます。令和の後半あたりで音楽評価期待してます。
今の時代もそうです。
優里の「ドライフラワー」を聴いている人が「頑張って毎日100回再生して優里さんを1位にしよう!」と思っているんでしょうか?「香水を100回聴いて瑛人さんを1位にしよう!」としていた人を見たことがありますか?
ほとんどのリスナーが「なんか流行ってるから聴こう」と思っていて、それが重なってチャートトップになったりしているんですよね。
チャートトップである結果を見ても「でしょうね、だって流行ってるから」という感想しか出ないと思います。かつての米津玄師の「Lemon」も、ファンは嬉しかったでしょうが、ファンではなく曲を気に入っているくらいの人たちが、チャートトップであることに対し喜びの声をあげていたのかというと、気にされてもいなかったのではないでしょうか。
ですから、いわゆるチャート汚染とやらになったとしても、
多くの人間はそれを気にもしないし、第一アイドルが独占するようなことは起きないと思います。
「嵐のカイトを100回再生して嵐さんを1位にしよう!」という感じの人が少ないから、嵐が独走できないわけです。
やっぱり「頑張って推そう!」という意識はアイドルオタクの一部にしかないわけです。
音楽の流行りとリスナーの聴き方が独特だから
今はCD不況の継続と、デジタル配信、ストリーミング時代になってきている。
CDのセールスよりも、サブスクのチャートの方がより「流行ってる、知ってるなあ」ということだけでも正確に納得できるのではないかと思います。
こちらは昨年のSpotify、日本のチャートです。(学校の授業で使った画像をそのまま貼った)
流行った曲が、結果的にそのままチャートトップになっていると言っていいのではないでしょうか。
「流行ったアニメ、ドラマ、映画の主題歌(メディアミックス)」
「よくカラオケなどで歌われた」
「TikTok」
「Twitterで話題になった」
そういったきっかけによる流行りが大きいと思います。
メディアミックスは当たり前に行われているので、アニメやドラマなどが当たれば主題歌も人気が出る可能性があります。
TikTokやカラオケは、邦楽の場合、歌いやすい曲やTikTokで使いやすい曲が人気になりそうです。個人的に、日本人はフォークソングが好きなのか、フォークって定期的に流行ってる気がします。あいみょん、米津玄師(フォークカバーされてるからフォークで)、そして優里…。
自分で音楽を見つけて「これいいよ!」っていう口コミで大ヒットする事例もありますが、
「なんで流行ったっけ?」「TikTokからじゃない?」という100億回くらい聞いた会話のようになんで流行ってるのかわからない曲も時々ある。
とにかくそうして上位にきた曲を、とりあえず知っておこうというノリで、人はトップソングのプレイリストを流し聴く。
街中でも、テレビでも、TikTokでも、どこかでよく流れているので耳にして、覚える。
この流行り方がしばらく変わらないのであれば、まずチャートも日本の音楽文化も変わらないのではないかと思います。
アイドルがこのチャートに入るには、単純にアイドルが人気になるか、タイアップのコンテンツが大ヒットするか(嵐でいうと花男みたいなこと)、TikTokで大人気になること…
この大衆人気のシステムに対抗すべく相当な工夫が必要になるのです。単なるファン人気ではない音楽チャートに、単なるファン人気中心のコンテンツ「アイドル」が介入することはとても難しいのです。
アイドルは中心ジャンルじゃない
歌謡曲が流行ったころはアイドルの歌が流行って、という事実はありました。
でも別に歌謡曲しかなかったわけではありません。私の母がアイドルだらけの時代にオザケンとYMOで生きていたとかなんだか言っていたのが証拠です。
あのころ以上に、今はアイドルが中心ジャンルにはない印象があります。
一時代を築いて、国民的アイドルと誰もが納得する存在になったSMAPがいた時はもう勢いも凄かったですが、
ここ最近は邦ロックブーム(RADWIMPSなど、最近はOfficial髭男dism)、フォークソング(あいみょん、米津玄師など)、あとはボカロ”っぽい”(YOASOBIなど)が続いているようで、
ますますアイドルの曲は「アイドルファンが好きな曲」の方向にガンガン突き進んでいる気がします。
アイドルな曲(抽象的すぎる)もTikTokで流行ればすごく聴かれる機会を得ますが(「シル・ヴ・プレジデント」)…
やめとこう…
でもBTS、流行ってるじゃん
街中でも、テレビでも、TikTokでも、どこかでよく流れているので耳にして…という話、メディアミックスの話をしたばかりですが、
じゃあこの結果は何だと、思いませんでしたか?
先ほどの画像、もう一度ご覧ください。この日のチャートの1位。
他は全員日本の歌手ですが(NiziUを日本と言わんでくれという方はすみません)
1位、なんと韓国のアイドルです。
いやいや待ってくれ、アイドルなの?アイドルってチャート載りづらいとか言ってたじゃん!しかも、そもそも邦楽でもなければ何のタイアップでもない曲ですよね。
じゃあなんで1位に?というと、ファンがめちゃくちゃ曲を再生したからです。
ちなみに、これは2021年7月。
アイドルであるBTSがチャートを独走しているわけです。個人的に彼らに対していう「アイドル」と日本のアイドルにいう「アイドル」はもう違うジャンルなような気もします。
ファンがめちゃくちゃ曲を再生しただけで、1位に居続けるの?ということに関しては
①ファンがめちゃくちゃ「がんばるオタク活動」をしていて、その人数も多い。
②曲がちゃんとリスナーにもウケている。
ということが1位の理由になると思います。
①は、前述のように、がんばるオタク活動だけでは、そもそも一部のオタクのプッシュだけではチャートには載れないし誰も聴かない、という話に矛盾しているかと思いきや、
「もしもがんばるオタク活動に熱心な人がたくさんいて、皆がその音楽をいいと思ったら(というか、いいと思われるような音楽であれば)チャートに載る」
ということが証明されたわけです。
自力でチャートに載ろう、という無謀にも聞こえるその挑戦を本気でやってみた~!という尋常じゃない凄さ。「あ、可能なんだ、そういうことが…」と私は茫然としました。
しかも、これもオリコンの時のように
「1位どうせBTSでしょ~?そんなのファン人気じゃん」
と、二の舞になるのかと思いきや…。
日本人は面白いことに定期的にフォークと、もうひとつ「英語」が流行る。
ワンダイレクション、ジャスティン・ビーバー、レディ・ガガ、テイラー、アリアナ、カーリー・レイ・ジェプセン、ビリー・アイリッシュなど…英語だったら時々流行る。
あとTikTok効果か、TikTokでよく使われる洋楽!というプレイリストを聴くと、TikTokユーザーなら聴き覚えのある曲があったりする。
昨年の「Dynamite」の場合、
①トップチャートに突如現れた外国のアーティストが
②英語の曲を歌っている
③日本「TikTokで使ってみたらめっちゃいいじゃん(覚える)」
④日本「パフォーマンスもいいじゃん(流行る)」
⑤厳しい日本進出、クリア!?
だから、意味もよくわからないし凄く歌えるわけではないけど、いいなと思うから覚えるし聴く。
芸能人のダンスカバー動画も凄く出た。PPAPかと思った(笑)
聴くきっかけは「流行ってるから」。
その流行りの源流は何だったのかというと「がんばるオタク活動」にあったわけです。
はい、チャートインするまで頑張ることが歌手の利益に貢献できる、現在の成功例でした。
この日本チャートの1位独走が、そのうち日本でも飽きられて「またBTSか」と言われてしまうか、もっと人気が出るかは日本の人々のアイドル熱、音楽の流行の行く末にもよると思います。
今のところこの7月のチャートを「チャート汚染」というのは酷いと思います。だってButterいい曲じゃん…。
日本アイドルで同じことが実現できるか?
BTSと同じことを実現するには、まずサブスク解禁が必須条件、そしてグループのTwitterアカウント開設も必須になります。
その条件がそろった場合、「がんばるオタク活動」を凄くしそうなグループがチャートインし続けるとします。それはジャニーズやんけ(音量50)
①BTSのように何週もチャートインし続けることは不可能すぎる
現在解禁されている嵐,SixTONES,Snow Man,Sexy Zone,King&Prince,...と続く日が来るかもしれません。
最初、この記事を書いている時に「またオリコンみたいにアイドルのチャートの独占状態を見た他の歌手やそのファンがキレ出すのでは…」ということも思い浮かんだのですが
紅蓮華ブームやうっせえわブームや、国内ではあのレベルにまで、オタクの力で到達しなければならないということを考えると非常に無理難題がすぎるのではないかと。
つまり「オリコンのようにはならない」と予想します。
とりわけジャニーズのオタクたちは、曲を聴いてその曲名をツイートする日常よりも、
平野くんの顔をくりぬいて被り物をつけてケーキにさしたり(ひどい)、ジェシーの顔をくりぬいてカチューシャにしたり(ひどい)、
Love SituationのYouTube動画をTikTokに無断転載する(ひどすぎる)方が好きみたいです。
TikTokの嵐の検索候補「嵐 ライブ映像」www
ちなみにそういった活動によるアイドルへの利益と効果の話は他の記事で書いています。
アイドルオタクの心が満たされるオタク活動(活動?)は許容できても
「これが彼らの利益に後々なっていくんだ!夢が叶うんだ!がんばらなきゃ!」
というオタ活は知ったこっちゃないというわけです。
CDもジャニショの写真を買うことも、それが手元に残って、自分の好きなようにできるから買うのであって、好きなようにできない「聴く、ツイートする、ラジオにリクエストする、などなど…」という活動を始めたい!っていう感情には至らない。インスタ映えしないもんな、ツイートって…。
ですので、まずチャート独占(≒チャートのハック)はもって2週。
YouTubeは緩やかに伸び続けていくと思いますが、今回のサブスクチャートの話でいうと、がんばってストリーミングしよう!なんていう「がんばり」はやろうと思わない。
「がんばるオタク活動」への参加人数が足りなくて、チャート独占を何週もするということは難しいと思います。
②「がんばること」自体へのアンチ
中には「そんなことしてチャートをハックすることに何の意味があるの?」と思って敢えて参加しない意思を示す人もいます。
チャートのトップを狙うことで起こり得るBTSの成功例の可能性を知らずに、
チャートハックという悪い点だけを予感しているようです。
そもそも「持っているCDで足りる」と考えている人も一定数いるくらいのCD文化もあります。
CDあるから、別にサブスク入る必要がない。これは①で述べたような「がんばる」ことをしないという話にも繋がります。
現に嵐は優しいから、オリジナル曲ばかりで構成したアルバムではなくRebornもデジタル配信も含めた既存デジタルのCD版を作っちゃったくらいです。2019-2020ベストかな…?オリジナル出せ~
ちなみに、「がんばるオタク活動」に薄々気づいててアンチしている人は大体大野さん以外の4人の悪口をツイートしているか、ニノの悪口をツイートしている人ですw(急に偏見出すじゃん)